「ついでに余ったお金で今流行のにゃんこメダルを買うのだ。ウォッチなるものも買うのだ。変身ベルトもなのだ」

あれだよね、お金の使い方のわからん子供に大金持たせちゃ駄目だよね。お兄様達、教育間違ったよね。

「ついでに隣国の王子が自慢してた精霊の泉も買うのだ。ミニドラゴン飼うのだ。色違いで5頭なのだ」

……一体いくら貰ったんだ。非常に興味が出て来た。ついでに5色のドラゴン見てみたい。


「おいリコ、セレ様が限定ランチオーダーしちゃったぞ。お前落とされてやるのか」

なんだかドリームにどっぷり浸かり始めた王子様を放って、呆れた顔でフィル君が聞いてくるけれど、私は頬を押さえた。

「フィル君、私気付いたの……大切な事に」

「な、なんだよ」

「今更遅いかもしれないけど、わたしっ、私達……!」

「リ、リコ?」

フィル君は上目遣いで迫る私に、赤い顔をしてどもる。風邪でも引いたのかな、大丈夫かしら。

「ーー私達、お師匠様からお年玉もらってない……!」

私の悲痛な声に、フィル君はがっくりと肩を落とした。

「分かってる。このパターンだって分かってる。しっかりしろ、俺。分かってるだろうが」

壁に向かって囁いているのは壁ドンの練習だろうか。
ここに女子がいるというのに。まあいいか。