「おいお前!私の妃にしてやる!」

いつも通り食堂でのアルバイト中に、私に向かって言い放ったのは。

金髪に青い目、造り物みたいに整った顔立ちの『ザ・王子様』だった。


「あーハイハイ。ご注文は?どうでもいいけど人を指差すのやめろ」

私はどうでも良いでーすという顔全開で、目の前の王子様に言ってやった。

「なんだお前その態度は!私が誰だかわからんのか!」

「えええ。なに美形は自分のことを皆が知ってて当然的な法律でもあるわけ?
なら私のことは近隣諸国世界中の人が知ってるのね、照れるなあ」

心底興味なさそうに言えば、金髪ぼっちゃんは卒倒しかけた。虚弱か。
私達のやり取りを見て奥から出てきたフィル君は、真っ青な顔をして言う。

「リコ、それ本物の王子。セインティア王国王太子、セレイエール様」

「へー。で、ご注文は?」