「左大臣様…父上もこれで安心なされますわね」 ――そうだ。 ――私の父上は左大臣。 ――その娘が帝に入内するべく育てられるなんて当然のこと、何故今まで気付かなんだ… 「姫様の御年ですと帝ではなく、東宮様への入内になりますわ。未来の中宮と言うところですわね」 嬉しげに言う中将の言葉も耳に入れず、私は琴を爪弾き続けました。