浅倉さんは淡々と答えた。

「いつからかは知らない。
何で知ってるかっていうのは、噂になってるし、前野さん態度でばればれだし」

美凪の幸輝に対する態度を思い出しても思い当たる節がない。

「そうかなぁ……?」

首を傾げながら言うと、浅倉さんは2度目のため息をついた。

「天野さん、ほんっと鈍いんだね。
そんで、高橋くんは知らないんじゃないの。あたし高橋くんと仲良くないから、そこまで知らないけど」

むしろ天野さんのほうが知ってるんじゃないの? と、問いかけられる。

どうなんだろう、と悠の姿を探してみる。

悠は教室の一番隅、後ろの席で今日も眠そうに窓の外を眺めていた。