たっぷり2分間笑い転げた美凪は、笑いすぎて目尻にたまった涙を拭いながら起き上がった。

「あ―おかしい!」

「なにがおかしいの?」

ちょっとふてくされながら聞くと、美凪はまた笑いはじめた。

「ねえ、美凪ってば」

「だって…、あははっ、蛍いっつも言ってるのに…! あはっ!」

美凪は笑いながら続ける。

「ふふっ…、わたしだってみんなのこと好きだし…あはは!」

あれ?

なにか会話が噛み合っていないような気がしてきた。

美凪は、今、みんなを好きだって言った。

わたしは、幸輝を好きなの?と聞いたつもりだったんだけど。

もしかして…

「美凪、誰が好きなの?」

笑いやんだ美凪は、きょとんした表情をみせながら口を開く。

「え? 蛍はもちろん、悠も幸輝も好きだよ?」

ああ、わかった。

わたしの聞き方が悪かったみたい。

わたしは、「好きなの?」としか聞かなくて、誰をって言わなかったから。

「ねぇ___」

「蛍もでしょ?
みんなのこと好きなんだよね?」

もう一度ちゃんと聞こうとしたわたしの声は、美凪の明るい声に遮られた。