今まで、ただ黙って見守っているだけだった浅倉さんがはいってきたことにより、美凪も面食らったようだった。
「あたしに教えてくれたんだよ」
「なにを?」
浅倉さんはなんて言うつもりなんだろう……。
不安になりながら浅倉さんを見つめると、わたしにだけみえるようにピースサインを作ってみせた。
「数学。矢田くんに貸したやつ、ホントは答え間違ってるんだって」
それは、真っ赤なうそだった。
だけど、堂々と言うからこそ美凪も信じたんだろう。
「え、そうなの!?
けど、蛍ってそんな間違ってるの人に渡す人だっけ……」
半信半疑だけど。
「う、うん!
あれね、やり方は教えてもらったんだけど、答えはあってるかわかんないからさ…!」
浅倉さんに感謝しながらなんとかごまかす。
