耳打ちされた言葉に、背筋を伸ばして首を小刻みに縦に振った。


それから、さっき汐田くんが下りて行ったばかりの階段を駆け下りて行く。



――サクロに、言う。


もし静ちゃんといても、言う。


呼び出して言う。ちゃんと言う。絶対言う。頑張る。今までサクロが頑張ってくれた分、私が頑張る。





















深呼吸を繰り返した。


思った通り、図書室に二人がいた。


仲良さそうに自習スペースで小声で笑い合う姿に、きゅっと胸が苦しくなってまた怖気づく。


七海ちゃんが応援してくれたのに、こんなところで迷っていてはいけない、と思いつつも、足は動こうとしてくれなかった。



――だめだな、頑張るって決めたばっかりなのに。


ぺしぺしっと頬を二度叩き、よし、と呟き気合いを入れる。


大丈夫、大丈夫。頑張れるよね、私。



「――あ、めい子ちゃん」



いざ、と左足を出して図書室の扉を押し開けた時だった。