「はい、ほうき」

「……あ、七海ちゃん、ありがとう」

「いーえ」



七海ちゃんからほうきを受け取って、階段掃除の自分の持ち場につこうとすれば、彼女に腕を掴まれた。



「……待った」

「……え?」

「あんた、汐田と付き合ってんの?」

「つ、付き合ってないよ!」



汐田くんは良い人だから、私にも優しくしてくれるだけで……!


そんなおこがましい! 友達になってくれただけでもありがたいのに、付き合うだなんて!


ないない、絶対にない! 私には勿体ない人です。



「じゃあなーんで佐久路とは険悪で、あっちとは毎日図書室通いなわけ~?」

「あ、あのね……」

「佐久路も佐久路で、隣のクラスの編入生と良い感じだって聞くしぃ」

「……」



じわっと涙が滲んで視界がかすむ。


……だってどうすればいいのかわかんないんだもん。


確実に、静ちゃんとサクロの距離は急速に縮まってる。


会っていなかった時間が嘘のように、昔からずっと一緒だったように楽しそう。