唇を尖らせるサクロに、やっと自然と笑うことができた。



「じゃ、私から話すね! そうだなあー……」



二人とも食べ終わっていたらしいので、静ちゃんの話を聞きながら、店員さんが下げやすいようにさりげなくお皿を重ねて端に寄せる。


……私も、何を話すのか考えておかなくちゃ。


サクロとの思い出はいっぱいあるし、全部温かい大事な記憶だけど、いざ人に話すってなると何を……。



「あ、そうだ」



声を弾ませて嬉しそうに笑う彼女は、サクロを見て悪戯っぽく笑う。


それから、まだ何も話していないのに、ひとりで思いだしたように吹きだして声を上げた。



「何だよ?」

「あのねー、めいちゃん。幼稚園の頃ね、清太、自分が超能力者だ、なんて言ってたんだよ? 笑っちゃうよね」

「……え?」

「それで、そのあとなんて言ったと思う?」



――すごく嫌な予感がした。



「“しっかは、おれと結婚するんだよ”」



懐かしそうに、どこかで聞いたそのセリフを言った彼女は、嬉しそうに微笑んだ。