「えー、俺はメーちゃんと2人きりがよかったのにー」

「何よ、いいじゃない、……でもほんとに無理してない? めいちゃん、いいの?」



こくこくと頷けば、やった、と、静ちゃんは長い三つ編みを揺らして一歩跳ねた。


可愛いしぐさに、思わず見とれてしまう。



「それじゃ、めいちゃん何食べたい?」

「……へ?」

「めいちゃんの好きなお店いこ!」

「……わ、私も、行っていいの……?」

「当たり前じゃん!」



サクロと静ちゃんの声がかぶさって、二人は同じように優しく笑う。


……最初から、私も仲間に入れてくれるつもりでいたんだ。


……すごく、良い人だなあ。



***



「俺、小2で転校してきたじゃん? しっかとは、その前の町で、幼稚園が同じだったんだよ」

「そうそう、親同士が仲良くてね、清太が引っ越したあとも、年賀状のやり取りだけはしてたの」



結局入ったのは、私のお気に入りの洋食屋さんだった。


自分の好きなお店を人に紹介するのは緊張したけれど、静ちゃんは優しくて、『引っ越してきたばかりだから、新しいお店を知れて嬉しい』と笑ってくれた。