「ごめん、今日はメーちゃんと約束あんだ」
だけど私の葛藤の末の結論が出る前に、サクロはすぐにきっぱりと静ちゃんに言う。
サクロを見上げれば、にへらっとしただらしのない笑みを返された。
それになんだかホッとして、2人にばれないように、俯いてから頬を緩める。
「あら、やっぱりか。残念!」
「また今度、誘うよ」
「うん、そうしてそうして! また、仲良くして?」
「えっ」
思わず声を出せば、2人が不思議そうな顔をして、私の方を見た。
……そっか。今日じゃなくても、サクロは静ちゃんと“今度”、遊ぶんだ。
――そのときは、2人きりだ。私の知らないところで? どうしよう、……やだ。
「……だっ、だめ」
「え?」
「じゃ、なくって、あの……、今日、私、大丈夫……」
「ほんと!? いいの?」
絞り出した言葉は断片的で、聞きとるのも大変なはずなのに、静ちゃんはちゃんと1回で理解してくれて、パッと顔を綻ばせる。

