「あ、流架くん秋良のこと見たことあるっけ?」 「つぐみ、もういいからっ…」 もう、やめてくれ。 「一回見といた方がアドバイスしやすいんじゃない?」 「見といた方がってなによーっ」 赤くなりながら、恥ずかしそうにする紗季を見たいんじゃない。 そんな話が聞きたいんじゃない。 膝の上で拳をぎゅっと握りしめる。 手のひらに爪が食い込んで痛いくらい握りしめた。 こうしてないと、言ってしまいそうになる。 大声でやめろって、言ってしまうから。 下唇を噛んで込み上げてくる感情を必死に押し殺す。