「あー、食った食った!美味しかった!」
ペロッとケーキを平らげた慶介は、満足そうに笑う。
俺も俺で、甘さが絶妙なチーズケーキが美味しくて完食したんだけど。
「あれ!?年下イケメンくんじゃん!」
いきなり俺たちが座るテーブルの横に立つなり声をあげたのは、どこかで見覚えがある女だった。
あれ…?
この人って確か、紗季の…。
「あ、ごめんごめん。あたし紗季の親友のつぐみ!ちゃんと話すのは初めてだよね」
そうだった。
いつも紗季と一緒にいる人だ。
「流架くん、だよね?いつも紗季の恋の相談に乗ってくれてありがとね!」
そう言われた瞬間、俺の体がピクッと反応する。
「ちょっと、つぐみっ…」
「あら、いいじゃない。減るもんじゃないし」
紗季が恥ずかしそうにやめて、とつぐみ先輩を止めるけど、先輩はそんなの御構い無しに話す。
正直、聞きたくない。
俺の知らない紗季の話とか。
どれだけ紗季が秋良先輩のことが好きだとか。
…耳を塞いでしまいたくなる。
「私がね、流架くんに相談しなさいって言ったの。紗季ったらどうしたらいいか分からない、なんて言うから」
俺に相談するように吹っかけたのはアンタかよ!!
なんて心の中で突っ込むけど、それを言葉にする気力なんてなかった。
それより、早くここから離れたい。
これ以上、聞いていたくない。



