もらったばかりの時計を早速左手首につけて眺めている紗季は、すごく嬉しそうだった。
ずっとその時計を見つめてた。
余程気に入ったんだな…。
こんな嬉しそうな紗季、初めて見た…。
「そういえば、さっき何て言おうとしてたの?」
ポケットの中の箱を、気づかれないように握りしめる。
「いや……俺、今年金なくて、何もプレゼント買ってやれなかったから…」
ウソだ。
今自分で持ってんじゃねぇか。
けど、渡す気になんてなれない。
……なれるわけがない。
「大丈夫よ。私、この時計だけで十分だし。中学生の琉架に初めから期待してないよ」
こんなこと言われて、渡せるわけねぇだろ…?
箱を握る手にさらに力が入る。
紗季は最初から、俺のプレゼントなんて望んでなかった。
込み上げてくる涙をグッと堪える。
……ひとりで浮かれて、紗季が喜ぶかもとか思ったりして……。
俺……。
「……バカじゃねぇの」
本当に、大馬鹿野郎だ。
「え、琉架!?」
紗季の家を出て、隣に建つ自宅に入って鍵を閉めた。



