「紗季、行こうぜ。ケーキ買うんだろ」
とにかく早く、その場から離れたくて。
「あ、うん」
俺の知らない紗季を、これ以上見ていたくなくて。
…大丈夫だ。
まだ紗季があの人を好きだって決まったわけじゃない。
紗季の誕生日を一緒に祝えるんだ。
落ち込んでてどうする。
まだ、チャンスはある。
紗季の家に着いて、早速準備に取り掛かった。
料理は二人で作る。
「琉架、塩とって」
「ん」
こうして二人で作るのは初めてではない。
おばさんがいない時、たまに紗季の手伝いをしてた。
だから調味料がどこにあるかも分かるし、この家の味付けだって覚えてる。
それを考えるだけで、いかに長く紗季と一緒に居たのかが分かる。
突然出てきた人に、紗季を取られたくない。



