俺の知らない紗季が、そこにはいて。
紗季が遠くにいるように思えた。
「琉架?」
気づくと目の前に紗季がいて。
「あ……早く終わったから」
「そう」
紗季は特に反応もせずに答える。
…やっぱ、俺に対しては口調が冷たい。
「高瀬ー、後で行くからな!」
遠くから聞こえたのは、仲谷さんの声。
行くってなんだ…?
「来なくていいから!さっさと部活行きなさいよ!」
滅多に声をあげない紗季が、遠くにいるあの人に向かって声をあげてる。
しかも、本人は気づいてんのかな。
自分が嬉しそうに笑ってること。
…気づいて、ねぇな。
嫌な胸騒ぎがする。
何かが、少しずつ崩れて行く音。



