(夢side)

「いってきまーす!!」

私はママとパパに元気よく挨拶をして家を出た。

角を曲がった私の目の前に、黒い車が止まった・・・

ドアが勢いよく開いた。中には見知らぬおじさんが乗っていた。

「君のお父さんが病院に運ばれたんだ!急いで乗って!!」

え・・・?さっきまで家にいたパパが!?そんなはずあるわけないじゃん!

「そんなはずないですよ!お父さんは家にいますから!」

「いいから早く乗れ!!!!!」

怖い・・・・・!

おじさんが逃げようとした私の手を強く引っ張ってきた。

誰か・・・!助けて!!!!!

「夢!大丈夫か!?」

空の声・・・来てくれたんだ!

おじさんは舌打ちをしてすばやく逃げて行った。

「なんだあいつ・・・って、夢!?」

私は、空に抱きついてしまっていた。

怖かったのと、嬉しかったので、涙が出てくる。

もし、空が来てくれなかったら・・・?

私の身、いや、命が危なかったかもしれない・・・。

空がそっと抱きしめ返してくれた。

どうしよう、恥ずかしいよ・・・///

「もう大丈夫だからな。俺から先生に行っとくから。」

夜、今日の朝のことをお礼したかったけど運悪く、家族で外食の予定があったから、話せなかった。

(空side)

誰もいないけど、一応・・・

「行ってきます。」

ん?夢の声・・・?

角を曲がると、黒い車の中のおっさんに連れ込まれそうになっている夢がいた。

「夢!大丈夫か!?」

夢の顔がぱあっと明るくなった。

ここは人通りが少ないから、不安だったんだな・・・。

舌打ちしておっさんは猛スピードで消えた。

「なんだあいつ・・・って、夢!?」

夢が、抱きついてきた。

やばい・・・・・・//////

たまらなくなって、抱きしめ返した。

って、何やってんだ、俺。

「もう大丈夫だからな。俺から先生に行っとくから。」

誰にも見られてなきゃいいんだけど・・・。


その日、夢と今朝の事を話したかったけど、

夢ん家の外食デーって事で、話せなかった。

俺ん家なんて、何年も外食してない。

父ちゃんと母ちゃんが離婚して、結構経つな・・・。

母ちゃんは生活費を稼ぐだけでも大変だ。だから外食なんて贅沢言ってられない。

夢の家庭は幸せそうでいいな・・・・・・。