大体の想像はついていた。
もしサイに、未練があるのだとしたら、それは……
絶対に奈々子のことに決まっているから。
だけど、あえて口には出さず、サイの言葉を黙って待つ。
『奈々子に会いたい』
16歳だもん。未練なんて、きっと数え切れないほどあるに決まっている。
だけど、もし……サイがその中の一つを代表して口に出すなら……
「なあ、涙。日曜日……ちょっと、ついて来てほしいところがあるんだ」
だけど…
「うん……奈々子の、ところでしょ?」
「いや…」
サイの言葉は、私が想像していたのとは違っていた。
「オレの家に……家族に会いにいくのに、一緒に来てほしい」
「え……」

