「オレも……涙の気持ち考えずに、勝手なこと言ってごめん」


耳元で、サイの少し掠れた声が聞こえた……。




その一言だけを言って、サイの右手が頭から離れる。


ゆっくりと立ち上がり、サイと向き直った。


「なんで……サイがあやまんの……?」


「涙を傷つけたから」


サイは笑う。


この優しい笑顔を……また見ることができてよかった。


「でも、昨日涙に言ったことは、全部オレの本音だから…」


「うん」


「涙には……絶対に幸せになってほしいから」


「……」


また、胸のあたりが痛くなった。


幸せになってほしい……それはきっと、私がサイの大切な、恋人の親友だから。


だけど、理由はなんであっても、私に本音をぶつけてくれたのはこの人が初めてだった。




「ありがとう」


それだけは……どうしても、サイに伝えたかった。