「サイの言ってること、間違ってなかった……それなのに、傷つけること言ってごめん……っ!」


本当は、言いたいこと、まだたくさん会ったのに……


自分の単細胞な脳を呪う。


頭で考えていた、伝えたかった言葉全部……忘れてしまった。




「涙」


サイの、自分の名前を呼ぶ声にハッとする。


こんなことをされても迷惑だろう。勢いとはいえ、親友の彼氏に抱き着くなんて……


「ごめん!」


そう言って、慌てて離れようとしたときだった。




「オレも、ごめん……」


腕を離そうとした……私の頭の後ろに何かが触れる。


「え……」


そして……


離れようとした私の体を、今度はサイが自分の体へと引き寄せた。


直接、抱きしめられてるわけじゃない。サイの右手が後頭部に触れ、彼の胸元に軽く押し付けられているだけ……。


それなのに……胸が苦しくて、苦しくて仕方ない。