「え?」 「死んだのに……悲しくないの?」 サイは笑った。 ―ギュ… 「…っ」 手を、微かに握り返される…。 「さあ……どうだろね」 「……」 その表情からは……なんの感情も、読み取れなかった。 サイは、少し変わっている。 だけど…… 奈々子が好きになったのも、わかる気がした。 変なことを時々言うけど、優しく笑う時もあって… 笑う時もあるけど、何を考えているのかわからない時もあって… 「サイって、つかみどころないよね」 「えー、そう?」 奈々子も、そう思っていたのかな……?