死んだ人間……


信号無視の軽トラと、追突事故……


それって……




奈々子の彼氏と、同じじゃんか…。


そこで私はハッとした。ある考えが、自分の脳裏に浮かんだのだ。


「ねえ、サイ……」


恐る恐る、彼の名前を呼ぶ。


「あんた…彼女、いた?」


「え…?」


微かに目を見開くサイ。


場違いな質問をしてしまっていることは十分に承知だ。でも……確かめずにはいられない。


もし、サイが「うん」と答えたら……私は全てを信じようじゃないか。




「うん……いたよ」


やがて……


サイは穏やかな笑みを浮かべながら頷いた。


ああ、やっぱり……


「その彼女の名前ってさ、もしかして常盤奈々子?」