「気が付いたら、涙が目の前にいたって感じ。…すげえマヌケ面して」
…一言多いから。
誰だっていきなり知らない人間が降りてきたらマヌケ面にもなる。
「どうなってんの…?」
突然、空から降ってきたサイ。そして自覚のない本人…。
現実的な世界で生きてきた私が、こんなファンタジー的な世界の展開なんて知らない。
「つーか、待ってくれ。空から降りてきたって……オレは……
オレは、魔法少女になっちまったのか?いや、男だから魔法少年か」
いた!自分以外にアホな考え方するヤツがここにいた!!
「ちょっと!ふざけてる場合じゃないでしょうが!」
人のこと言えないけど。
「ふざけてないよ」
シレっと真顔になるサイ。そして……
「あのさ、涙」
突然、こちらを真っ直ぐに見てきたかと思うと、私の名前を呼んだ。
「なに……?」
「オレ今から、信じられないこと言うけど……いい?」

