「オレ、古賀頼 彩人。よろしくな、涙!」
ええっ!?
「はう、おめ、れ…らら…」
「ん?何語?」
不意打ちの笑顔に、何も言えなくなってしまう。
こがらい、さいと……っていうか、今、名前……
「いいだろ?別に。涙もオレのこと、『サイ』って呼べよ」
「サ、イ……?」
私の言葉にサイは頷く。
言うまでもないけど、私にはこれと言って仲のいいボーイフレンドがいない。
当然、異性から名前で呼ばれたのは小学生以来で…
「べ、別にいいけど…」
「さんきゅ」
しどろもどろに頷く私に、サイは嬉しそうにフッと笑う。
なんだか、気恥ずかしい心を見透かされているみたいに感じたけど…どうやら間違ってなかったみたい。
「もしかして、名前くらいで照れてる?」
「はあ!?て、照れてないよ!?別に!」
この年で、名前の呼び捨てくらいで照れるなんて……恥ずかしいことなんだろうか?

