さきほどの、自分を睨んでいた咲乃の顔…。
私の悪口を言っていても決しておかしくない。
けど……こちらから謝る気などサラサラなかった。
悪いのは、人の不幸を嘲笑っていたあの3人のほうなのだから。
なんて、堂々と心の中で言い放ったものの…
あ~…寂しい。
ひとりぼっちでの空間に、すでに泣きそうになっている自分がいた。
3時間目の授業が、あと数分で終わろうとしている。
咲乃たちへの怒りは、最初に比べてすっかり冷めていた。
チラッと、視界の隅で咲乃を見てみる。
長い巻き髪を垂らしながら、夢中で携帯を片手に指を動かしていた。誰かとメールでもしているのだろうか?
顔を上げて、離れた席にいる翔子と愛姫を見てみる。彼女らもまた、同じようにして携帯をいじっていた。
もしかして……3人だけでLINEでもしているの?
内容は、やっぱり私の悪口?
考えが、悪いほうへ悪いほうへと進んでしまう。
『黙れ!!』なんて……さっきは、私も言い過ぎたかな?
自分からは謝らないと決めたものの、だからといって、咲乃たちから謝ってくるとはとても考えられない。

