「秘密の場所!」 「へえ!?」 私の走りながらの問いかけに……サイは一言、そう言った。 あらゆる道という道を抜け、 ときには狭い路地裏を通り、たどり着いたのは…… 「ここ、は……?」 見たことも、来たこともない河原だった。 「オレの、秘密の場所」 私の手を握るサイが、こっちをみて満面の笑みで笑う。 秘密の場所……? 「奈々子との……?」 「いや…」 首を横に振るサイ。 「連れて来たのは……涙がはじめてだよ」 なんで…… 「っておい!?なに泣いてんだよ!?」