「奈々子……?」 奈々子の目が…… はじめてサイを捉えた。 「サイ……」 見えて、いなかったはずなのに…… 「サイ……!!」 今度は、奈々子がサイの体を抱きしめる。 何度また、会いたいと願っていたのだろう。 何度また、顔が見たいと願っていたのだろう。 「サイ、会いたかった……!!会いたかったよう!!」 奈々子の目からあふれる、とめどない涙…。 「……オレもだよ」 胸が……張り裂けそうに苦しい。 それでも、私の選択は間違っていなかったのだと思えた。