「涙…?一体、誰と話して……」 私は奈々子の方へと体の向きを変える。 ねえ、奈々子…… 「お母さんから聞いたの。涙が、『サイに会わせてくれる』って…… ねえ、どうしてなの?涙。どうしてあなたが……サイの名前を知っているの?」 気付いてる? 「ねえ……涙!」 サイは今……あなたを抱きしめているんだよ…… 私の頬を涙が伝う…。 お願い、神様…… どうか…… 一瞬でいい…… サイの顔を……奈々子に見せてあげてください―・・