チャイムが鳴ってしまう前にと、私も急いで教室へと向かう。
ギリギリセーフ…
担任が来るまでにと、教室のど真ん中である自分の席に着き、あの小説サイトを開こうとしたときだった。
―ガタ
誰かが隣の席のイスを引いた。
同時に視界の隅に映る、ジャラついたキーホルダーがうるさいくらい付けらている派手なサブバッグ。
私は顔を上げる。
「おはよう、咲乃」
「おはよう!」
明らかに校則違反の派手な巻き髪と、長い脚をこれでもかってほどに出した短いスカート。
高校2年生になって、初めてできた友達…彼女の名前は赤井咲乃。
「どうしたの?」
「何が?」
「いや、なんか…ご機嫌じゃない?」
「ふふっ、まあね!あっ、翔子、愛姫、おはよ~!」
更にふたりの派手な女子生徒が、ガラッと教室に入ってくる。
周りなんて気にしない、大きな咲乃の声に反応してこちらに歩いて来るのは…前園翔子に斉藤愛姫。
「咲乃、声デカいし」

