1番目のドア、2番目のドアとサイは歩いて行き……
やがて、4番目のドアの前で立ち止まった。
サイのお母さんは……まだ部屋にいるかな?
そんな不安を胸に、サイと共にドアの前へと立つ。
黒いドアの真ん中上には、「204」の文字。
横にはインターホンと、「古賀頼」と書かれた札のようなものがくくり付けられていた。
「ここが、オレの住んでいたところ」
隣でサイが言った。
「うん…」
「インターホン押すのも、これからオレの母親と話を進めていくのも、涙だからね」
「わ、わかってるよ!」
サイのお母さんにサイの姿は見えないし、声を聞かせることはできない。
「行こう」と言ったのは私。今更、緊張してますなんて言えない!
震える手で、インターホンへと手を伸ばしたときだった。
―ギュ…
「え…?」
手を、優しく握られる。
驚いて顔を横へ向けると、サイが優しく笑いかけながらこちらを見下ろしていた。
「サイ…」
「そんなに緊張しなくてもいいよ?ちゃんとオレも……涙のそばにいるんだから」