砂場にシーソー、ブランコに滑り台……
どこを見ても、やっぱり5歳児の女の子の姿なんてない。というかまず子ども自体いないし……
「おかしいな……」
ぽつりと、サイが考え込むようにそうつぶやいたときだった。
「お姉ちゃん、だあれ?」
「ぎゃああ!!」
足元からの突然聞こえた声に、心臓が飛び出すかと思った。
驚いて目線を下へと下げる。そこにいたのは……
い、いつの間に!?
見たことのない、小さな女の子だった。
水色の淡い袖なしのワンピースに、いかにも夏っぽいピンクのリボンがついた麦わら帽子。そこから、柔らかい絹のような黒髪が風にサラサラと揺れている。
黄色いかばんを肩からななめに下げて、両手には大事そうにクマのぬいぐるみが抱えられていた。
あれ?この子、もしかして……
ある考えが浮かぶと同時に、背後のサイを振り返る。サイは、そんな私と目が合うと……小さく頷いた。
「この子がオレの妹の……奏」
そう……ちゃん……

