「うわあ……なんかすごい懐かしい」
すぐ隣で、サイがどことなく嬉しそうな声を上げる。
「『葉喪野(はもの)公園って言うんだ」
「刃物……?」
「涙、今違う感じのほう想像したろ…。涙の腹の肉をさばけるほうの『刃物』じゃなくて、葉っぱに喪服の『喪』、野原の『野』って書くんだよ」
「例えがおかしすぎるんですけど!!」
なに!涙の肉をさばけるほうの『刃物』って!
なんてくだらない言い争いをしているうちに刃物……じゃない。葉喪野公園に到着。
「サイの妹見たーい!!」
「あっ、涙」
サイよりも早く……ドキドキワクワクしながら、公園の敷地内を覗き込んだときだった。
「あ、あれ……?いないじゃん」
公園には、サイの妹どころか、人っ子一人いなかった。
「えっ、ウソ、そんなはず……」
遅れてきたサイが、続くようにして私の背後から公園の中をのぞく。

