「水分補給したほうがいいよ?」
「あっ、うん!」
慌ててバッグから飲み物を取り出す。
危ない危ない。のどが渇いていたわけじゃないけど、この暑さなら水分は小まめにとっておかないと、脱水症状になってしまう。
チラッと隣を歩くサイを見てみる。
カッターシャツから除く白い首元……汗はひとつも流れていない。
死んでいるから、暑さも疲れも、きっとサイには感じないのだろう。
一見うらやましく思えるけど……同時に私は複雑だった。
「あ、ほら、見えてきた。あそこだよ」
それからいばらく歩いて……照りつける太陽に汗だくな私の頭にポンと何かが触れた。
「ほんと?」
同時にもう片方の手でサイが指さしたのは…
「あっ……あの公園?」
「うん」
下を向いていたから気づかなかった。顔を上げると、数メートル先の前方に公園がある。
赤、青、黄色と……強い原色色の遊具がそろっている、カラフルな公園。

