この道のりを、サイはいつも学校へ行くたびに歩いてたってこと?
「……」
うわー、無理だ。早起きだってしなきゃならんだろうし、私には絶対無理。
数分で駅に着いてしまう私とはえらい違いだ。
「ああっと、ごめん。家の前にちょっと寄りたいところがあって…」
私の質問にサイが答える。
へ?
「寄りたいとこ?」
私は首を傾げた。
「どこ?」
「5歳の妹がいるって言ったろ?そいつがよく遊んでる公園があってさ……日曜日で幼稚園も休みだから、今はたぶんそっちの方に行ってると思って」
ああ、なるほど。
こんなに天気もいいし、幼稚園も休みとなれば、子どもにしてみれば最高のお外日和だもんね。
サイの知っているその公園とやらに、まずは妹がいるのだという。
じゃあ、まずはその妹さんに会ってから、家に行ってのお母さんとの再会って形になるかな?
「涙」
「はい?」
そんなことを勝手に思っていたら、突然、隣からサイが私の名前を呼んだ。

