天使が舞い降りる。




サワサワと、歩くたびに草の揺れる音がする。




「あれー、なんだ。意外と田舎でもないじゃん」


電車から降りてすぐは、田んぼと森しかなかったからものすごい田舎なのだと思っていたけど…


歩いて行くと、そうでもなかった。


コンビニもあるし、小さいけど商店街もあるし…


日曜日だからか、ほとんどはシャッターが閉まっていて、「定休日」と書かれた札が吊るされてあるけど。


そこからまた歩いて行けば、最初目にした緑はウソだったかのように民家がたくさんある。


サイと同じ……優しい匂いがする。


「ド田舎だと思ったのに……騙された」


「ははっ、初めて来たヤツは大体そう言うよ」


「初めて来たヤツ、って?」


「奈々子とか、あと学校の友達とか」


「へえ…」


奈々子も、ここへは一度来てるんだ…。






「ねえ」


「ん?」


「今って、サイの家に向かってるんだよね?」


家、というかアパートか。駅を出て、かれこれ30分近くは歩いた気がする…。