だんだんと減っていく、車内の乗客。
そんな中、私とサイはしばらくの間、流れゆく外の景色を眺めていた……。
一体、どれほどの時間が経ったのか……
『次は、最終、古間木駅ー、古間木駅でございます』
やっと最終の駅にたどり着く、最後のアナウンス放送が流れた。私はかばんを肩に下げる。
古間木……
ここが、サイの生まれ育った場所。
遠いなー。奈々子がなかなか私とサイを会わせられないわけだ…。
サイと一緒に駅のホームに降り立つ。
ホームから抜け出て、真っ先に視界に入ったのは……見渡す限りどこまでも続く、田んぼ。
「なにもなくてびっくりだろ?」
隣を見ると、サイが笑って私を見ていた。
見慣れない景色……
この町にこんな場所があったなんて、知らなかった。
どこを見ても人なんて歩いていなくて、あるのは生い茂る緑の木々と、草の生えた田んぼだけ。
だけど、静かで穏やかで……なんだか落ち着く。
「自然が豊かなところですねえ…」
「感想が年寄りみたい」
「こっち」と、サイが私に手招きする。私は歩き出した。

