部屋のドアのすぐ横の壁に、サイは寄りかかっていた。
はじめて会ったとき同様、上からふたつ外された白いカッターシャツに、青の緩く結ばれたネクタイ。
「ごめん、待たせて」
「奈々子もそうだったけど、なんで女って出かける準備にこう時間がかかるんだか…」
「うるさい。男の子と違って女の子にはいろいろあるの!」
「そうでございますかー」
私たちは家を出た。
「涙、駅どこ?」
私はサイを連れて駅へと向かう。
歩いて行けるわけなんてないよね……。はじめからそこまで家が近いとは思っていない。
「こっちまっすぐ」
私たちは駅に向かって歩き出す。
サイの家族って、どんな人たちなんだろ……
お父さんは離婚しているから会えないけど、お母さんはサイに似てきっと美人なはず。
妹も可愛いんだろうな…。
「妹さん、何歳なの?」

