衣麻と僕と俺と私




「しかも、理系クラス。


午後1時から6時まで勉強漬け」


高屋くんは“うへぇ”って顔をしかめて見せた。


私立今松学園の高等部ってハイレベルで有名。


寮も設置されてるから県内だけじゃなくて


近隣県からも入学してくるって聞いたことがある。


高屋くん、確かに頭良かったもんね。


しかもお父さんは村内でたった1人のお医者さん。


高屋くんは一人っ子だから跡取りってことなのかも。


「あ、次降りる駅や。買い物もここ?」


この周辺で買い物できるとこってこの駅の近くくらいだから


高屋くんはそう言ったんだと思う。


「うん、ここ」


3人で電車を降りるって変な感じ。


そもそも中学時代は電車に乗る用事あまりなかったし。


「俺、そこで昼食べるんやけど、もし良かったら一緒にどう?


普通のとこより安いし美味しいけど」


そんなに言われたら断る理由もない。


私と雪乃は少し顔を見合わせた後、笑顔で承諾した。