衣麻と僕と俺と私




そうだった。


休み明けのテストの点数が悪くて


大量の課題を渡された翔馬に教えてたんだ。


別に特別頭が良い訳じゃない。


ただ、今回のテスト問題は


夏休みの課題から出たから解けただけ。


それが出来てなかった翔馬はきっと


課題を適当にやったんだ。


「衣麻?」


いつまでも無言な私を不思議に思ったのか


翔馬がもう1度名前を呼んだ。


翔馬には悪いけど


今日はもう教えられる気分じゃない。


「今日はもう部活行き?私、帰る」


「え・・・ちょっと、衣麻?」


慌ててる翔馬に反応しないように


鞄に荷物を詰めて肩に掛けた。


最初は騒いでたけど


今はすっかり大人しく見てる翔馬。


「ごめんね」


それだけ言って教室から飛び出した。