衣麻と僕と俺と私




私は大真面目に言ったのに、翔馬は吹き出した。


何がそんなにおかしいのか。


こっちは真剣に悩んでるっていうのに。


「それ、先輩から聞いた」


「え?」


まさか。


だって、私たちが呼び出されたのは


さっきの出来事なんだもん。


「毎年らしいよ。


北小出身者は他校出身の子らと上手く付き合えんって」


「毎年・・・」


「で、それはあっちの高校も同じらしいよ」


「あっちも・・・」


“あっち”はもちろん篤たちの高校。


どうしよう


ますます悩みが大きくなっていく。


だって、それは衣里ちゃんも経験したかもしれなくて


これから瑛太や瑛斗が経験することかもしれないんだ。


「で、衣麻。ここ教えて」


私の悩みを知ってか知らずか


翔馬は手元のプリントを指した。