衣麻と僕と俺と私




相手が言い終わる前に話し始める雪乃なんて


初めてかも。


よっぽど早く言いたかったんだ。


「ううん、私も気になっとったけん」


【そっか・・・心配かけてほんとにごめん。


家に帰ってしばらくしたら良太が家に来てね


ちゃんと仲直りできたけん報告しようと思って】


きっと翔馬が上手く言ってくれたんだ。


昔から翔馬と良太は特に仲良しだったから。


「そっか、良かった」


心から安心した。


やっと7人で過ごせるようになったのに


またバラバラになるんじゃないかって不安だったから。


【それでね、明日


衣麻にだけきいて欲しいことがあるんよ】


「私にだけ?すっごい気になる」


もう、さっきまでの不安な気持ちはない。


だって、2人は仲直りしたし雪乃の声は明るいし


何も心配することはないでしょ?


【明日のお楽しみ!】


「そっか、じゃあ楽しみにしとくね。


あ・・・そろそろ寝なね。また明日」


【うん、今日はありがとう。おやすみ】


電話を切って受話器を戻して、ため息が出た。


嫌なことがあった時に出るものではなくて


安心した時に出るもの。


これからも7人でいられることに安心した。