衣麻と僕と俺と私




晩ごはんを食べてお風呂に入って


あとは寝るだけになっても


考えるのは良太と雪乃のこと。


翔馬は分からないけど私を含めた残りの6人は


多分、恋愛にすごく疎い。


16歳になる年なのに、今までこういうことはなかった。


あっても中学時代に私が数人に告白されたとか


篤と良太も数人に告白されたとか、そのくらい。


告白されて戸惑っても


みんなに相談するほど悩むことはなかった。


私が知る限り、雪乃は人生初の告白を受けた。


そもそも、雪乃は可愛くて背も低すぎなくて優しくて


今まで告白されなかったことの方が不自然なんだ。


「衣麻ねぇ!何回呼ばせるん!」


「ひゃい!」


びっくりして変な声を出しちゃった。


今のは耳のせいじゃなくて、ぼーっとしてたせい。


「ユキちゃんから電話」


そう言って瑛太から子機を手渡されて耳にあてる。


もう10時まわってるのに、どうしたんだろう。


「もし・・・」


【もしもし衣麻!?ごめんねこんな時間に】