衣麻と僕と俺と私




他にもいっぱい。


きっと、衣麻の知らない所で辛い思いをしてると思う。


だからこそ


衣麻はこうして笑顔で過ごさないといけないんだって思う。



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「明日から衣麻おらんのやっけ?」


夏休みも中盤のある日


学校の近くの公園でみんなと遊んでる時に翔馬は言った。


そういえば、明日からだっけ。


「うん、2泊3日でおばあちゃんとこ行くけん」


毎年お盆になると、家族5人で母方の祖母の家に泊まりに行く。


父方は村内に住んでるけど、母方は電車で3時間の隣県。


村から離れるのは寂しいけど、おばあちゃんに会えるのは嬉しい。


「あ、衣麻。瑛太が呼びよる」


もう1人の女子、雪乃が教えてくれて指さす方向を見ると


確かに瑛太が“おいでおいで”をしていた。


「雪乃ありがと。ちょっと行って来るね!」


みんなに軽く手を振って、瑛太の元へと走る。


「ごめん瑛太。聞こえんかって」


「めっちゃ叫んだのに・・・」


「ごめんね」