衣麻と僕と俺と私




だけど、正直心臓に悪い感じ。


「・・・大丈夫じゃない」


色んな意味でね。


今朝は話すことに一生懸命だったから何も思わなかったけど


少し冷静になって考えてみたら


カップルって噂されてるんだよね。


「行くよ、衣麻」


翔馬が自分のお弁当と私の腕を持って歩き出した。


周りの視線を受けてどうこうよりも


今のこの状況が理解できないでいる。


「しょ・・・翔馬、離して」


「え?何?」


周りは人がいっぱいで聞き取れなかったのか


翔馬が顔を近づけてきた。


その瞬間、自分の顔が熱を帯びたことが分かった。


「は・・・恥ずかしいけん」


“だから離して”って意味を込めて言ったのに


翔馬は更に強く腕を掴んで来た。


聞こえてないってことはないと思う。


私じゃあるまいし。


そして体育館裏に着く頃には私はゆでダコ状態になってた。