衣麻と僕と俺と私




「10時になった!」


アナログを見てデジタルを見て


完全に10時になったのを確認して


テーブルの上に広げてあった宿題たちを部屋に持って上がる。


早くしないと翔馬が来ちゃう。


学習机の上に宿題を置いて


椅子にかけてあったリュックを背負う。


最後に帽子を被って、準備完了!


「おかーさん、行ってきまーす!」


「気をつけてね?6時までには・・・」


「分かっとる!翔馬おるけん大丈夫!」


お母さんに向けて右手でブイサイン。


さすがにお母さんも呆れたみたいだけど


衣麻は早く行きたいの。


「ほうやね。行ってらっしゃい」


ようやく笑顔で送り出してくれた。


世間的には聴覚障害児に入るのかもしれない私。


別に入っても入らなくても関係はないけど


家族には感謝してる。


衣里ちゃんや瑛太と区別せずに同じようにしてくれることや


心配でも何でもさせてくれること。