衣麻と僕と俺と私




ちょうど良かった、もう部活終了の時間。


体育館前で待とう。


そう思って体育館前の階段に腰を下ろした。


緊張からか、手足が震えてるのが分かる。


どうか、何も起こりませんように。


雲が薄くかかっていて少ししか見えない星に願った。


「・・・衣麻?」


階段に座って約5分。


小さいけど確かに右耳に飛び込んできた翔馬の声。


思わず勢いよく振り向いた。


翔馬は同じく1年生のバスケ部の子3人と一緒に立っていた。


「良太に呼んで来てって言われて・・・」


「馬越、俺ら先帰るね」


私が言葉に詰まったら3人の中の1人がそう言って先に帰った。


翔馬も片手を上げて見送ってたけど、悪いことしたかも。


「もしかして公園?」


ため息混じりに言った翔馬。


私が首を縦に振ると、またため息をついた。


「正門で待ってて。すぐ行く」


「あ・・・うん」


少し怒ったような態度の翔馬にびっくりしたけど


この暗い中1人で戻るのは嫌だったから良かった。