衣麻と僕と俺と私




私が心の整理をできなかった理由は、これ。


翔馬が戻って来たかったのかどうかが分からないから。


「・・・衣麻、翔馬呼んできて」


びっくりして良太の顔を見た。


だって、良太n声は聞いたことない程に


怒りを含んでたから。


「でも、今は部活・・・」


部活紹介の後すぐに“俺、バスケ入る”って


何故か宣言してきたから。


野球じゃなくてバスケなんだって冷めた気持ちで思った。


「そんなん知らん。はよ呼んで来てや」


他の4人も良太の様子にびっくりして声も出せないでいる。


「・・・分かった」


まだ4月のこの時間帯はすでに薄暗くて


きっとすぐに日が落ちる。


多少遅くなってもご飯までに帰れば大丈夫だけど


今は何よりも良太が翔馬に何を言うのかが怖い。



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学校に着いたらすでに真っ暗で


私は自転車置き場を通り過ぎて体育館横に自転車を止めた。


時刻は6時半。