衣麻と僕と俺と私




「ゴ、GWに翔馬が北海道に家族旅行に行ったんは


お父さんのお葬式をするためやったって・・・」


そんな状況だったのに、いつも笑顔だった。


『心配せんでも僕が遊んじゃる』


夏休み前に言ったあの言葉や


『翔馬くんやって辛いんよ』


お母さんが私に言ったこの言葉の意味を考えると胸が痛む。


きっと、お母さんは全て知ってた。


だから私よりも翔馬が辛いことを強調したんだ。


「じゃあ・・・」


しばらくの沈黙の後、良太の声はかすれてる。


「何で翔馬は戻ってきたん?」


「向こうでの生活が落ち着いてお母さんの体調が戻ったら


こっちに戻る予定やったんやって」


私は全然気付いてなかったけど


小学4年生の6月頃から翔馬のお母さんは


体調を崩してたんだって。


それはストレスからで、すぐに治るものではなかった。


北海道に行ってからも環境の変化に着いて行けずに


病状は良くならなかったらしい。


でも、お母さんの病状は良くならんかって


こっちに戻って来たんはお母さんの希望らしい」