衣麻と僕と俺と私




今まで良太が座ってた場所に雪乃が座って


お弁当を広げてる。


雪乃にもきっといっぱい辛い思いをさせた。


だから私が少し辛いくらい我慢しなきゃ。


「雪乃、今までごめんね。


放課後、公園で全部話すけん」


箸箱からお箸を取り出していた雪乃は


私の言葉に一瞬固まった。


私の言葉が思いもよらないものでびっくりしたんだろうな。


そして、雪乃の目にはみるみる内に涙がたまっていく。


私とは正反対に


翔馬がいなくなった夏から泣き虫になった衣麻。


周りには“衣麻と雪乃を足して割ったら丁度いいのに”


って言われた程。


それだけ辛い思いをしてきたってこと。


「ごめんね、雪乃」


ポケットからティッシュを取り出し


雪乃に渡して背中をさする。


雪乃は首を横に振るだけで何も言わない。


何も言えないんだろうな。


でも、もう終わりだよ。


今までごめんね、ありがとう。