私たちが伝えなくても村に戻って来たんだから
見かけないことはなかったと思う。
だけど、さすがに翔馬が全然話題に出てこない
ってことは避けたかった。
「衣麻、そろそろ知りたいかも」
きっかけは、良太のその一言だった。
お母さんお手製の卵焼きを一口含んで私は固まった。
いつかはこういう日が来るって思ってた。
自分で覚悟を決めないといけないことも分かってた。
我慢強くて器の大きい良太が言うんだから
そういう時期になってるんだろう。
「・・・ごめんね、待たせて。
今日の放課後、公園で話す。
雪乃には私から言うけん、篤らには良太から・・・」
「うん、分かっとる」
私とは目を合わせず、真っ直ぐ前を向いて言った良太。
きっと今日までいっぱい悩んだんだと思う。
「あ、2人ともお待たせ!」
どこからどう見ても空元気な雪乃が走って現れた。
委員会の仕事があるから先行っててって言われたんだ。
「俺も委員会の仕事やけん行く。また放課後ね」
「うん」


